『オールディーズ』(A Collection Of Beatles Oldies)は、1966年12月10日にイギリスでリリースされたビートルズの公式なコンピレーション・アルバムである。1987年にオリジナル・アルバムがCD化された際に、ビートルズのカタログから削除された。
解説
ビートルズ活動期唯一のコンピレーション・アルバム(ベスト・アルバム)。アートワークは画家のデヴィッド・クリスチャンが手がけたもの。モノラル盤とステレオ盤の2種類で、英国と英国編集の国のみで発売され、米国や米国編集盤発売に準ずる国では発売されなかった。
ビートルズは年間2枚のアルバムを制作する契約義務を負っていたが、1966年4月の『リボルバー』完成後、メンバーは長期休暇を取っていた。ジョン・レノンは映画『ジョン・レノンの 僕の戦争』の撮影のため西ドイツに滞在し、ポール・マッカートニーはジョージ・マーティンと映画『ふたりだけの窓』の音楽制作や映画関連のイベントに参加し、ジョージ・ハリスンはラヴィ・シャンカルのもとでシタールの練習に励み、リンゴ・スターは家族と過ごしていため、新作アルバムが制作できなかった。これにより、代替案としてEMIが企画したアルバムが本作である。ビートルズの広報を担当していたトニー・バーロウによると、メンバーは本作の発売に反対していたという。
本作には、1963年から1966年までの主なシングル曲と、一部アルバム収録曲から選曲されており、また当時英国では未発表曲だった「バッド・ボーイ」が収録された。発売当時英国ではステレオ・ミックスは未発売となっていた「フロム・ミー・トゥ・ユー」「恋を抱きしめよう」「アイ・フィール・ファイン」「バッド・ボーイ」「デイ・トリッパー」「ペイパーバック・ライター」「抱きしめたい」は、本作で初のリリースとなった。
「シー・ラヴズ・ユー」は2chのステレオマスターテープがすでに破棄されていたので、当アルバムのためにジョージ・マーティンの立ち会いの下、エンジニアのジェフ・エメリックがモノラルマスターテープから左チャンネルの高音域と右チャンネルの低音域をカットし、それらを合わせた疑似ステレオマスターテープを制作した(この時、ビートルズのメンバーは立ち会っていない)。「シー・ラヴズ・ユー」と同日に「抱きしめたい」のステレオマスターも制作され、また「フロム・ミー・トゥ・ユー」のステレオ・リミックスの制作も予定されていたが、結局は行われなかった。
またEMIが急遽アルバム用に再度「デイ・トリッパー」と「恋を抱きしめよう」のステレオ・リミックスを要請したため、ジョージ・マーティンおよびジェフ・エメリック不在の中、EMIのエンジニア二人が作業を行なった。。またこの際に二人のエンジニアは「バッド・ボーイ」の新しいステレオリミックスの要請もEMIから受けていたが、EMIからの連絡不手際からシングル盤『抱きしめたい』のB面に収録されていた「ジス・ボーイ」のステレオミックスを行ってしまい、時間に押されて結局は「バッド・ボーイ」の新リミックスを行うことができずに終わっている。そのため先にアメリカで発売されていたアルバム『ビートルズ VI』に収められたものと同じステレオバージョンがそのまま使われることとなったというエピソードがある。
なお、ジョージ・ハリスンが作詞・作曲、リード・ボーカルを務めた楽曲は選曲されていない。
裏ジャケットは写真家のロバート・ウィテカーによるもので、1966年6月から7月の来日公演時に滞在していた東京ヒルトン・ホテル(現・キャピトル東急ホテル)で撮影された写真。しかし日本以外の殆どの海外で発売されたものは、この写真が裏焼になってしまっている(マッカートニーが着ている半被の「寿」の文字が逆になっているので容易に分かる)。
収録曲
特記を除き、作詞作曲はレノン=マッカートニーによるもの。
チャート成績
脚注
注釈
出典




