僧綱補任』(そうごうぶにん)とは僧綱の補任記録を年次によりまとめた書物。加えて、承和元年(834年)と同4年以降(837年)には已講の講師の記録も載せる。

諸本

興福寺本
6巻の巻物であり、紙背文書に平清盛の書が含まれる。推古天皇32年(624年)、天武天皇2年(673年)、文武天皇2年(698年)から康治元年(1142年)までの各年の記録が残っている。1910年8月29日重要文化財。『大日本仏教全書』巻123所収。
真福寺本(『七大寺年表』)
2巻であるが、上巻の巻首を欠いている。このため、『七大寺年表』だと誤認されていた。奥書によれば「永万元年十月此書書写了。恵珍之。一校了。不審更多」とあるが、平田俊春は、「真福寺本」(『七大寺年表』)は『僧綱補任抄出』の抄出元である「東大寺東南院経蔵本十二巻忠珍僧都撰」であり、恵珍が「真福寺本」(『七大寺年表』)の編者であると指摘している。内容は天武天皇11年(682年)から延暦21年(802年)までで、「興福寺本」に『扶桑略記』などから増補されている。1951年6月9日重要文化財。『大日本仏教全書』巻111、『続群書類従』巻792所収。
僧綱補任抄出
2巻。「東大寺東南院経蔵本十二巻忠珍僧都撰」を深賢が抄出したもの。内容は推古天皇32年(624年)から永万元年(1165年)までであり、本書が万永元年までであることから、永万元年十月書写の「真福寺本」(『七大寺年表』)の編者は恵珍であると指摘されている。東大寺所蔵。『群書類従』巻54、『大日本仏教全書』巻111所収。
彰考館本
2巻。巻1は安和2年(969年)から長元8年(1035年)、巻2は嘉承2年(1107年)から保延4年(1138年)。崇徳天皇代(1123年 - 1142年)に成立し、室町時代の書写された。「興福寺本」との食い違いが多数ある。
寿永2年(1183年)から元暦2年(1185年)の残欠
簡略で誤字が多い。宮内庁書陵部(近世写本3冊)、東京大学、静嘉堂文庫所蔵。『大日本仏教全書』巻111所収。
究竟僧綱補任
応保2年(1162年)の記録。高山寺旧蔵。フランク・ホーレー、弘文荘の手を経て、1958年、東大寺が購入。2001年、『南都仏教』80号に横内裕人により陰影・翻刻。
五十音引僧綱補任 僧歴綜覧
平林盛得・小池一行編。笠間書院笠間索引叢刊。1976年1月1日発売。僧綱補任を「僧名毎に編成替えし」た本であり、興福寺本を「中心」に、「真福寺本」、『抄出』、「彰考館本」、残欠の記事を加える。2008年11月10日、「増訂版」を発売し、「究竟僧綱補任」と『平安遺文』の記事を加えた。2016年2月13日、1976年版を国文学研究資料館学術情報リポジトリで公開。

出典

参考文献

  • 平林盛得・小池一行編『五十音引僧綱補任 僧歴綜覧 増訂版 推古卅二年-元暦二年<624年-1185年>』, 笠間書院, 2008, 平林による解説

関連項目

  • 僧綱
  • 僧位
  • 公卿補任

外部リンク

  • 『大日本仏教全書』巻111, 巻123, 国立国会図書館デジタルコレクション
  • 五十音引僧綱補任僧歴綜覧 Index List, 国文学研究資料館学術情報リポジトリ

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